すべての始まりは、性能を測ることへの憧れでした。
高校生の頃、コンピューターの性能を数値で示すベンチマークソフトウェアに出会いました。同じ「パソコン」でありながら、CPUやメモリー、ストレージの違いによって動作が変わる。その差を測定し、比較し、目に見える数字として表現できることに強く惹かれました。
コンピューターの性能は、外観だけでは分かりません。カタログ上の名称だけでも、本当の使い心地は判断できません。実際に動かし、同じ条件で測定して初めて見えてくるものがあります。
1998年、個人開発者としての歩みが始まりました。
1998年、Windows向けソフトウェアの開発と公開を始めました。自分が必要だと思う機能を実装し、公開し、利用者から届く反応をもとに改善する。その繰り返しを続けました。
個人開発では、考えたことをすぐに形にできる一方、公開した製品を長く保守し続ける責任も自分自身が負います。古い環境への対応、未知のハードウェアへの対応、利用者からの問い合わせ。その一つひとつが技術と製品を育てました。
コンピューター全体を測る、CrystalMark。
2002年、総合ベンチマークソフトウェア「CrystalMark」と、CPU情報表示ソフトウェア「CrystalCPUID」を公開しました。
CrystalMarkは、CPU、メモリー、ストレージ、グラフィックスなど、コンピューターを構成する複数の要素を測定し、総合的に評価することを目指した製品です。
この時期に得たCPU検出、性能測定、互換性対応、ユーザーインターフェースに関する経験は、後のCrystalDiskMark、CrystalDiskInfo、CrystalMark Retro、そしてCrystalMark CPUixへ受け継がれています。
性能を測るCrystalDiskMarkと、状態を知るCrystalDiskInfo。
2007年3月31日、ストレージの読み書き性能を誰でも簡単に測定できるようにするため、CrystalDiskMarkを公開しました。個人利用から製品レビュー、企業での検証、ハードウェア開発まで幅広く利用されるようになりました。
2008年5月22日、ストレージの性能だけでなく健康状態を分かりやすく伝えるため、CrystalDiskInfoを公開しました。S.M.A.R.T.情報、温度、稼働時間などを整理し、「正常」「注意」「異常」という判断につなげることを目指しました。
CrystalDiskInfoは公開初年に、読者投票による「2008年 窓の杜大賞」の作品部門大賞を受賞しました。技術的な情報を分かりやすく届けるという方向性が、多くの利用者に受け入れられたことを示す象徴的な出来事でした。
個人開発のソフトウェアが、世界中で使われる製品へ。
CrystalDiskInfoとCrystalDiskMarkは、多言語化と継続的な新製品対応を重ねながら、世界各国の利用者へ広がっていきました。
個人のPCを確認するためのツールだけでなく、ストレージ製品のレビュー、製品開発、品質評価、技術サポート、障害調査など、さまざまな場面で利用されています。
ストレージベンダーやストレージコントローラーベンダーとの技術情報交換、新製品対応、互換性検証、不具合調査も行ってきました。MSIさん、A1Dataさんとのコラボレーションなど、ソフトウェア単体を越えた取り組みにも広がっています。
2014年1月からは、代表者の宮崎典行がMicrosoft MVP(C++)として継続的に認定されています。
技術と成果を、より多くの人々へ、より長く届けるために。
個人開発として始まった製品は、長い年月を経て、世界中の多くの人々が利用するソフトウェアへ成長しました。継続的な提供、法人向けライセンスやサポート、企業との協業には、個人活動を越えた基盤が必要になりました。
2025年2月18日、これまで培ってきた技術と成果を、より多くの人々へ、より長く届けるため、CrystalMark株式会社を設立しました。
ソフトウェアの開発・保守は、現在も宮崎典行が個人開発者として行っています。CrystalMark株式会社は、開発者の許諾に基づき、ソフトウェアの配布、法人向けライセンス、サポート、技術協力、コラボレーションを担います。
過去の技術を残し、未来の基準をつくる。
CrystalMark Retroでは、旧世代Windowsを含む幅広い環境の性能を測定し、過去のコンピューター技術を記録する取り組みを進めています。
CrystalMark CPUixでは、Windows 95やWindows NT 3.51の時代から、最新のx64、ARM64、さらに未来のCPUまでを一つの考え方で評価できるCPUベンチマークを目指しています。
単に新しい製品を作るのではなく、何を測っているのか、なぜその結果になるのかを説明でき、長期間にわたって比較できる基準を残すこと。それが次の挑戦です。